第85章 逢瀬 ※
「総統、それはどういった意味でしょう?」
エルヴィン団長が意味合いを問うと、ザックレー総統はふふ、と笑ってから私たちに背を向けた。
「―――お前たちは似ている。強い芯とキレる思考と――――その潔いまでの大胆さもな。成長させると厄介だ。なんの確証もなくとも、奴らは常につっかかってくるぞ。――――もし私が中央憲兵を指揮していたら、確実にどちらかを潰しにいくだろうな。」
「――――………。」
そんなに私は危険に見えているのかと少し、驚いた。ザックレー総統が顔だけこちらに少し振り向いて、エルヴィン団長に向かって意味ありげに目を細めた。
「――――なぁエルヴィン、お前がどうしていくのか、私は見てるぞ。」
「………??」
ザックレー総統の言葉の意味が、私には正確に掴みとれなかった。何かを含んだその目と言葉に、エルヴィン団長は黙って何かを考えている様子だった。
ただ一つわかるのは、ザックレー総統が言うように、私とエルヴィン団長のどちらかを確実に潰しにいくと言うなら、その対象は間違いなく私だ。
またいつ何が起きても不思議ではない状況に私はいるのかと思うと、少し、息が苦しい。
は……と小さく息を漏らすと、ザックレー総統が話題を変えた。
「それはそうとナナ。君の立案から実現した“翼の日”あれは王都の商家やその関係先の貴族からも大層好評だったぞ。」
「有り難いお言葉です。」
「今年の年末にも開催を、という話がすでにあちこちから来ているが?予定はあるのか?君は離団中だから気になってな。」