第84章 奞
「――――ちっ、巨人の生態についてはクソほどどうでもいいが、酒があるなら聞いてやらねぇこともねぇ。」
「いいね!!今日エルヴィンいないから、いい酒買ってきて……ちゃちゃっと経費切っちゃう?団長のいない日の権限は兵士長殿にあるんでしょ?」
「ああ、そうだ。今夜は俺の思うままだ。ついでに紅茶も経費で落としておこう。気になってた高ぇ茶葉がある。」
「わる!!兵士長わっる!!まぁ、たまにはいいよね!」
ハンジが腹を抱えて笑う。
なんてくだらねぇことをしてんだろうな、俺は。
そうは思いつつ、こうしてふざけた事をやってる間は、余計なことをあれこれ思い出さなくていい。
「行くぞクソメガネ、買い出しだ。」
「ミケも誘おう!!というか、共犯にしよう!」
「ああ。」
それから俺達は街に出てあらゆる酒とつまみを買い漁り、ハンジの研究室で密かに酒盛りをして――――他愛もない、どうでもいい話をして夜を明かした。
抱きたくもねぇ女を無理して抱くより、冷たい夜を1人で過ごすよりよっぽど気が紛れて―――――1人で飲んでいる時よりも、ほんの少し酒が回った。
こいつらがいてくれて良かったと、口に出せばハンジが調子に乗るのは目に見えているから言わねぇが。
――――悪くない。
エルヴィンが帰って来たら、あいつも引き込んでやろう。