第84章 奞
「………なんだハンジ。」
「怖っ、え、怖いよリヴァイ!いつもより更に人相だいぶ悪いよ?」
「うるせぇな。」
「ねぇ?アリシア?」
「え……あっ……。」
「今彼すごく機嫌悪いからさ、用が済んだならもう行きな?……ろくなことにならないから。」
「――――………はい……失礼します。」
ハンジが牽制をすると、アリシアは気まずそうな顔をしてその場を立ち去った。
「――――ナナがいなくなったら早速?ちょっとそれはどうなの?」
「――――うるせぇ、なんもしてねぇだろうが。」
ハンジは呆れたようにため息をついた。
「別にさ、私は他の子を抱くなとは言ってないよ?リヴァイがちゃんとその子を愛して、その子からも愛されての行為なら素晴らしいと思うけど。――――私にはどうしても見えちゃうんだよね。別の子にナナを重ねて抱いて、その子にも――――ナナにも罪悪感と後悔の念を抱いちゃって、辛そうなリヴァイがさ。」
「――――………。」
「とにかく私は君が大事だから。一応、伝えておこうと思って。」
「………溜まったものをどうしろと。自慰は趣味じゃねぇ。虚しい。」
「随分赤裸々だねぇ。そうだな、性欲って他のものに熱中すれば昇華できるって言うじゃない?だから一晩中私と巨人の生態について考察でもする?!いつでも付き合うよ!!」
「ありえねぇだろ馬鹿か。そんなことに時間を費やすくらいなら自分で抜いたほうがマシだ。」
「はははっ、まぁ気が向いたらいつでもおいでよ、私の研究室!!大歓迎だよ!」
ハンジががばっと俺の肩を馴れ馴れしく抱いて軽快に笑う。
こいつにかかれば、自分の中の気持ち悪ぃ部分が、まるでどうでもいいことだったように感じる。
この感じは――――――悪くねぇ。