第8章 訓練 ※
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リヴァイ兵士長に言われ、訓練中の負傷者の手当をするべく、みんなの様子を伺う。そこに、立体機動訓練で着地時にでも捻ったのか、左足を庇って歩く男性を見つけた。
「あの!」
「ん?」
私が声をかけると、その男性は振り返った。
「左足、負傷されていませんか?手当をさせてください。」
「あんた………確か……。」
「昨日入団しました、ナナ・エイルと言います。今、リヴァイ兵士長の指示で訓練中の負傷者の手当に当たっています。患部を見せてください。」
「あ、ああ………頼む。」
その男性を座らせ、ブーツを脱いでもらい、問診しながら足の状態を観察する。軽い捻挫、というところか。一先ず氷で患部を冷やしながら、彼に問う。
「………午後の訓練も出られるつもりですか?」
「ああ、もちろんだ。」
「……では、負担が軽くなるようテーピングで固定します。多少は違和感があるかもしれませんが、悪化させないためです。我慢してください。」
「わかった、ありがとな。………ああ済まない、名乗るのが遅れてしまったが、俺はエルド。よろしくな。」
「エルドさん。宜しくお願いします。」
患部を固定するようにテーピングを施し、エルドさんを見送る。その後も数名の兵士の手当をした。
そういえば、一番気になっている彼の姿がない。リヴァイ兵士長の立体機動を見ているときに、サッシュさんが木に激突した瞬間を見た。
なんらかの怪我をしているはずなのだけれど……とあたりを見回すと、顔の左半分を手で覆うようにして、ふらふらと歩くサッシュさんの姿を見つけた。
私は慌ててサッシュさんに駆け寄る。