第8章 訓練 ※
「そうだった。いや、すごいねアンタ。……改めて、これから宜しくね。」
「はい、ナナバさん。こちらこそ、宜しくお願いします。」
「……心配はなさそうだな。ナナ、その手でこれ以上の立体機動訓練はやめておけ。午前の訓練の残り時間は、訓練中の負傷者の手当を頼めるか。戦闘訓練場へ行ってくれ。午後は走り込みとトレーニングに変える。」
「はいっ!」
ナナは器用に自分の手の傷を処置すると、手当用の備品の入ったカバンを持って負傷者を探すべく、あちこちを歩き回った。
「いや、いい子入れたね、さすがエルヴィンだ。」
「………まぁ……そうだな………。」
「あんたの専属補佐になったのには何か理由があるのか?」
「……さぁな。エルヴィンの考えることは俺にはわからねぇ。」
「そう?なんかさ………まぁ、いいか。」
「あ?なんだ。気になるだろうが。」
「さっきあんたがサッシュの訓練に入ったじゃない。訓練を開始してからずっと集中力を欠かさずにいたナナが、その時だけは、あんたの方をじっと見てさ。なんかこう、眩しそうっていうか、憧れっていうか、そんな眼差しだったから。あの子、可愛いよねぇ?」
ナナバがニヤニヤしながら、俺を見下ろす。
「……あいつが憧れてるのは、俺じゃなく俺が飛び回る空への憧れだろう。」
「ふーん?」
「……そんなことより、てめぇは午後の戦闘訓練でブレードの使い方をもう少しマシにすることだな。前回の壁外調査で、怪力に任せて何本ブレード折ったんだ。」
「うるさいよ。たまたま、だ。たまたま。」