第82章 深愛 ※
「――――そうか、まだよくわからないんだな。」
しょんぼりと肩を落とす私を、優しく撫でてキスをくれる。
「でも確かに聞こえた。希望はある。ゆっくりでいい――――、またいつか、俺の名を呼んでくれ。」
エルヴィンの言葉に、小さく頷く。
「――――ああ、久しぶりにナナの可愛い声を聞いたからな。昂ってきた。ちょっと激しくしても、いいか?」
私はあなたのものだから、好きにしていい。
そう伝えたくて、嬉しい顔で笑って見せる。
「ありがとう。――――到底優しくできそうにないが………壊さないようには、気を付ける。」
鋭く私を射貫くその目はいつものエルヴィンとは思えないほど濃い色欲の色を孕んでいて、ぞくりと身体が震えるようだった。
腰を掴まれ、乱暴に打ち付けられる腰に身体が揺さぶられる。正直、左腕も、肋骨も、痛い。
それなのに――――――耳元で囁かれるその低音で艶っぽい声と、溶かされそうなほどのエルヴィンの高い体温と、いつものエルヴィンの香りに汗の匂いと性の匂いが混ざった淫靡な香り―――――その全てで、与えられる痛みも快感に塗り替えられてしまう。
この生殖行動は、皮肉にも“生きている”ことを実感させて、しばらく現実逃避していた私を一気に生々しい現実に引き戻した。
愛する人の昂ぶりを一身に受け止めながら、声にならない嬌声を吐息として漏らし、私は何度も達してしまった。