第82章 深愛 ※
「――――挿れるよ。」
エルヴィンの切羽詰まった声に、こくりと頷く。
愛液を絡めて入り口に宛がわれ、力を込められる。大きく張った先端部分は、いつも私の中に入る時に、少しひきつるような痛みを伴う。でも、それすら愛おしい。
ぐぐ、と腰を進められると、身体をこじ開けられるのがわかる。その感覚に、腰が反ってしまう。シーツをギュッと掴んで、息を吐く。
「――――すまない、痛いか?」
エルヴィンが頬に手を沿えて、睫毛が触れそうな距離で呟く。私は小さく笑って首を横に振った。
「――――嘘が上手になったな。」
エルヴィンもふふ、と笑って、慈しむようにゆっくりと、腰を動かし始める。
「………っ……、………、ん…っ………!」
「ふ………すごい、繋がってるな、ナナ………っ………!」
粘着質な水音が響く。
「できれば――――、君の声が聞けたら、もっと嬉しいんだが………。治して、いこうな、一緒に。」
エルヴィンの体温と匂いに外から包まれて、中をエルヴィンでいっぱいにされて、エルヴィンのことしか、考えられなくなる。
こんなにも愛してる。
一緒にいたい。
夢を叶えたい。
ずっとあなたに必要とされて―――――共に、生きたい。
溢れ出すこの気持ちを伝える術を、なんで私は失ってしまったのだろう。
声に出して伝えたい。
呼びたい、あなたの名前を。
「―――――エ、ル、ヴィン…………。」
「!!」
エルヴィンの動きが止まって、すごく驚いた顔で私を見下ろす。
「ナナ……、今、俺の名を呼んだか……?!」
「??」
「もう一度言ってごらん。」
「―――――………。」
声に出てた?自分ではわからなかった。
そして―――――どうやって声に出せたのか、また、わからなくなってしまった。