第8章 訓練 ※
「装置の仕組みから教えるようエルヴィン団長から言われていたんだけど、今朝最初の時点で装置の仕組みから装着方法、基本操作、メンテナンスの方法まで全て完璧に把握していたよ。だから、座学は一切必要なく実践から始めている。」
「……ほう。」
「ナナ!ちょっと休憩しな!」
「はっ、はいっ!」
ナナバが呼び戻すと、ナナは額の汗を拭いながらこちらに近づいて来た。
「ねぇナナ、あんた立体機動装置の事をどこで学んだの?」
「昨晩、同室のアルルに資料を見せてもらいました。」
「資料って……訓練兵が使うやつ…?」
「はい、そう言っていました。」
俺とナナバは顔を見合わせた。
「……一晩で覚えたのか?」
「??はい。」
ナナはそれがなにか?という表情で俺達を見上げた。訓練兵の使う立体機動の資料は、すべてが事細かに記載されておりゆうに二百ページは超える。最低でも一週間程度かけて学ぶ内容だ。
「………はははっ!さすがだね!!」
ナナバは豪快に笑うと、ナナの頭を撫でた。その時、ナナバがナナの手に血が滲んでいることに気が付いた。
「ちょっとナナ、手、擦り切れてるよ!もうこのあたりにしておこう!!手当してやるから、おいで!」
「あ、手当用の備品を貸していただけたら、自分でできます!こう見えて、医者ですから。」
ナナはにこっと笑った。