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【進撃の巨人】片翼のきみと

第82章 深愛 ※




ワンピースを裾からまくり上げて、頭と腕を抜く。その白い身体を包むように、俺のシャツを羽織らせて片方ずつ、腕を入れさせる。

ボタンを一つ一つ止めながら―――――、本当にここまで理性を保っている自分を褒めてやりたい、と思った。

リヴァイのあの意地の悪い一言が、頭の中で反芻される。





『これだけ側に置いていて抱けねぇとは……心中お察しする。団長。』





その言葉を掻き消そうと、ナナは怪我をしてる、ナナはまだ肋骨だって治りきっていない、と自分の中で何度も繰り返す。

俺の様子から何かを察したのか、ナナが心配そうに俺の頬に右手を沿えて目の奥を覗き込んだ。

その目がどうかしたのか、と問いかけている。



「―――――いや、ただの葛藤だ。問題ない。」

「??」

「さぁ、俺はもう一仕事だ。君は自由にしてていいよ。」



雑念を振り払うように団長室に戻った。

しばらく書類に目を通してサインをして、を繰り返して、ふっと息を吐くと、ナナがコーヒーを持って来た。片手で難しいだろうに、時間をかけて淹れてくれたみたいだ。



「ありがとうナナ。君の淹れてくれたコーヒーは久しぶりだ。」



礼を言うと、にこ、と微笑む。

邪魔をしないでおこうと思ったのだろうか、コーヒーを出してすぐにナナは背を向けて私室に戻ろうとした。

その後ろ姿を見ると、なんとも言えない欲望の渦が俺の中に沸き上がってしまう。



俺の大きなシャツをワンピースのように羽織って、そこからすらりと見える細い足と、シャツの中で泳ぐほどか細いのに、俺はその身体の線をよくよく知っているから―――――悩ましい曲線を目ざとく見つけてしまう。


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