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【進撃の巨人】片翼のきみと

第78章 抗




「――――長距離索敵陣形も、今回の調査でより精度が上がっていることが証明できればいいですね。」

「ああ、ずっと提案しつづけて、団長になってようやく着手できたことだからな。失敗もしたし―――――この作戦の未熟さで多くの兵士を死なせた。それを無駄じゃなく意味のあるものにできるようにと、思っているよ。」



エルヴィン団長が兵士を“死なせた”と言う時は決まって、その彼らの顔を頭に描きながら――――語り掛けているかのような表情で言う。

私はその表情を見るたびに、抱き締めたくなる。

私なんかがなんの役に立てるかと言われれば、それまでだけど―――――、一緒に背負わせてくれるなら、その苦しみも、痛みも、分けてほしい。



私の知る“強い人たち”はみんな、元々強いんじゃない。

強くならざるを得なくて、そうなっていったような気がするから。そしてその強さゆえに大事なものを見失って――――また傷ついていくから。





「――――どうした?執務中だぞ?」





いつもとセリフが逆だ。

私は、机に向かうエルヴィン団長の首元にその背中から両腕を回して、抱き締める。





「―――――ごめんなさい、ほんの少しだけ……こうさせて―――――……。」



「…………。」





エルヴィン団長は黙ったまま、ほんの少し私に頬を寄せて髪を撫でた。

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