第78章 抗
それからの2週間、空いている全ての時間を費やして立体機動の練習を繰り返した。
――――そもそも掌にも傷があるから、柄を握ることすら最初は痛くて、力が入らなかった。
力が入らない場合は柄と手を縛ってしまう兵士もたまに見かけるが、私のいる意味は怪我人の治療だ。すぐに手を開けられる状態にしていないと、いる意味が削がれてしまう。ただただ痛みに耐えて、練習を重ねる。
時折ハンジさんやミケさんが相談に乗ってくれたり、私を無理矢理休憩させたり、リンファやサッシュさんが練習に付き合ってくれたり――――――。そして、あの人も。
「――――おいお前また飯も食わずに訓練か。」
「え、あっ、はい……でも……栄養は、おかげさまでとってます。」
額の汗を拭いながら、傍らにジャケットと一緒に置いた、あの時リヴァイ兵士長に頂いたお菓子を指さす。
食事の時間がもったいなくてこうして訓練に当てているから、時折栄養を補給している。
今日は……機嫌が良くなさそうだ。なにか、あったのだろうか。
「――――そういう使い方のためにやったんじゃねぇ。飯は食え。命令だ。」
「2日前までにモノにするには、時間がいくらあっても足りないんです……!私は、リヴァイ兵士長みたいに……才能があるわけでは、ないので……。」
「………お前は自分の事をないがしろにするほどやりすぎる癖をどうにかしろ。」
「…………。」
リヴァイ兵士長は鋭く私を睨み付けた。