第78章 抗
自主練習を終えて、団長室へ向かう。
もう足も随分いい。
立体機動もなんとかできる希望も見えて、機嫌よく団長室で執務をこなす。
「――――嬉しそうだな?なにかあったか?」
「はい、立体機動で再び空を飛べる希望がほんの少し、見えたので。明日からもっと練習します。」
「本当か?その指で……?」
「はい。」
「――――君は、すごいな。」
お世辞でもなく、機嫌をとろうとしてるわけでもなく、エルヴィン団長が素直に詠嘆した言葉がとても嬉しかった。
「――――ああそうだナナ。」
「はい。」
「昨日の王都招集で今回の騒動の報告をしたんだが、ザックレー総統とピクシス司令が君のことをとても心配されていたよ。ピクシス司令に至っては、見舞いを贈ると言っていた。次に会う時に礼を―――――と思ったが、――――そうか、もう随分先になってしまうんだな。」
その言葉に驚きつつも、とても嬉しい。
「恐れ多いです……。ぜひ御礼は早いうちにお伝えしたいです。……例えば3月の王都招集の時に……兵団本部まで行けば、兵服でなくても入らせてもらえますかね……?」
「ああそれはいい。私がどこかまで迎えに行こう。それなら問題ない。」
「はい、ではそうします。予定を空けておきますね。」
「頼むよ。」
その翌日の幹部会では、今回の件の事が共有された。
エルヴィン団長もリヴァイ兵士長も、揃って私を監視する視線が消えたと言う。彼らが言うなら、そうなのだろう。
とにかく私が実家に帰る前にそのもろもろの問題を消化してくれたエルヴィン団長には、ますます頭があがらない。