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【進撃の巨人】片翼のきみと

第77章 己己




「――――姉さんも結局、狡くて汚い女なの?」



ロイの視線が冷たく刺さる。ロイの最も嫌悪する存在に、私はなってしまった。





「――――そう……私は、狡くて……汚い。」



「――――あいつが姉さんの全てだったなら、仕方ないと思っていたけど―――――、エルヴィンさんが姉さんをあんなにも愛してくれているのを知った以上、僕は姉さんを綺麗なまま守ってくれるエルヴィンさんしか、認めない。エルヴィンさんと一緒にいる姉さんは理性的で凛としててとても綺麗だ。なのに―――――、あいつといる姉さんはまるで―――――、愛だの恋だのに溺れる、そこらの低俗な女の顔をしてる。」



「―――――…………。」





返す言葉もない。

でも、どっちが本当の私なんだろう。

私はどうありたいんだろう。

わからなくなってきた。



甘くて幸せな時間を得る度に、その倍以上の自責や苦しみが返ってくる。





「――――壁外調査が終わって……こっちに、帰ってきたら………ロイの望む、理性的で凛とした、私に……戻るから……ちゃんと………。」



「――――期待してる。僕にこれ以上、大好きな姉さんを軽蔑させないで。」





ロイは冷たい一言を残して、扉をばたんと閉めた。

私は一人、うまくまとまらない荷物と自分の心を整理しきれず混沌とした中で、しばらく動けなかった。

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