第7章 調査兵団
「……っ………、……なら、やめておきます………。」
ナナはどこか嬉しそうな顔をしたように見えたが、それは俺の願望が見せた錯覚だろうか。
「髪を切る以外にこの問題を改善するには……そうだな、さっきの語弊を、事実にしてしまう方法もあるが?」
俺はナナの髪を梳き、そのまま指に絡めて掬い取った。その髪に唇を寄せ、ナナの反応を確かめた。
「??語弊を事実に………?」
きょとん、とした表情で言葉の意味を理解しようと考え込んでいる。
……わかっていたがな。ガキはガキだ。
俺はナナの髪を離してソファの背もたれにドカッと寄りかかった。
「……冗談だ。」
「………冗談ですか。」
ナナはティーカップを両手で包み込むと、ふふっと笑った。
「……なんだ。」
「リヴァイさんの優しさと冗談は、本当に分かりにくいな、と思って。」
柔らかく微笑むその姿に、もどかしい感情が沸き上がる。いつもいつも、俺には未知の感情があることを思い知らされる。
本当に厄介なやつだ。