第7章 調査兵団
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『私はリヴァイ兵士長のものじゃないですか』
その大きな目でまっすぐに俺を見つめて、何を言うかと思えば……なんなんだこいつは。
サッシュに同意する。
こいつは全くもって、危機感がなさすぎる。
頭がずば抜けて良いんじゃなかったのか?
俺は頭を抱えたまま、どう言っていいのか分からず長いため息をついた。
「…………語弊があるだろうが。」
「語弊ですか。」
俺の言葉を理解しきっていない様子のまま、ナナは俺を見つめる。申し訳なさからか、いつもより控えめに開かれた濃紺の瞳と、風呂上りの乾ききっていない白銀の長い髪からは石鹸の香りが漂っている。俺は石鹸の香りに感化されたように、ふとナナの髪を指で掬う。
「……女の髪に勝手に触れるのは失礼だと、怒らねぇのか?」
「……??…だってリヴァイ兵士長ですよ。………と言いますか、そんな早い段階から見ていらっしゃったんですね……。」
ナナはバツが悪そうに俺から目を逸らして、カップに視線を落とした。
「私、考えたのですが。」
「なんだ。」
ナナは再び俺の方を見た。
「リヴァイ兵士長の仰る通り、この長い髪が目立ち過ぎるなら、いっそ切ればいいかと。」
そう言って、自分の髪の毛を束ねて見せた。
「……いや、そうじゃねぇだろ………。」
「えぇ……!でも…短くても差しさわりませんし、訓練にも短い方が向いていそうですし……。」
「…………その髪は、俺が気に入ってんだ。」