• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第76章 束間




―――――――――――――――――――

病院の事をおおよそ引き継いで、相続の手続きなども済ませて家に帰るころには、日が暮れていた。

馬車が門前につくと、リヴァイさんが門前まで迎えに来てくれて、軽々と私を抱き上げた。そう、ずっとこの調子だ。

朝、馬車に乗るまでも私を一切歩かせない。

とんでもなく過保護すぎて、初めてこんなリヴァイさんの一面を知って、思わず笑ってしまう。

恥ずかしいのでやめて、歩けますと言っても、『動かさねぇほうが早く治るに決まってんだろ』と一蹴されてしまう。その様子をあらあら、仕方ないわねぇと言う顔で微笑む母とハルに対して、ロイだけはずっと面白くない顔をしている。



私の部屋に入ると、テーブルの上に大きな紙袋が置かれている。



「??これ、なんですか??」

「――――茶葉の店に行った。」

「ああ、好きなのがありましたか?でも、買い過ぎじゃないですか?」



私をベッドに下ろすと、その紙袋を私のほうにずいっと差し出した。



「え?」

「お前にやる。」

「えっ。」

「俺はブランデーに合いそうな気に入った茶葉を見つけた。これで満足だ。後は―――――商売上手な店主に買わされたようなもんだ。」



リヴァイさんの手に取られた紅茶の缶を見て驚く。



「あっ、それ………。」

「あ?」

「――――なんでも、ないです。」



――――嬉しい。私があの時リヴァイさんの好みに合いそうだと思っていた紅茶を、選んでくれている。思わず顔が綻んでしまうのを抑えながら、紙袋の中を見た。



「お菓子ばっかりですけど?」

「そうだ。」

「リヴァイさん、甘い物食べないのに?」

「――――だからお前にやる。」



リヴァイさんがあまりに冷めた顔で言うから、面白くて―――――ついつい、笑ってしまった。

/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp