第75章 再燃
「水、汲んでくるね。」
リンファのその言葉を合図に、リンファはわざと私の元を離れた。
罠を仕掛ける―――――それは分かっているけれど、どうしても小さく身体が震える。
どくん、どくんと静かな森の中で、私の鼓動だけが響いているようだ。
『ナナ、傷一つつけずに守る事はできないかもしれない。それほどの距離までリヴァイが詰めれば、相手は出て来ない。接触から数秒だけ、君の力で抗え。リヴァイ、200mほどの距離を、何秒で詰められる。』
『―――――4秒。』
4秒、4秒だけ耐える。
いきなり心臓を刺されたり、頭を殴打されない限り大丈夫。
私を痛めつける、嬲ることが目的なら―――――いきなり殺したりは、しないはず。
それに――――――リヴァイ兵士長がいてくれる。
なによりも確かで、絶対に来てくれる。
そうは思いつつも、一瞬身体がぶるっと震えて、冷たい風が更に私の肌を敏感にさせる。
ピリッと空気が張って、確かな殺気を感じた。
でも、向かう先が―――――――――――私じゃない………っ……!!!!
「リンファ!!!!!」
そう叫んだ時には、リンファの姿は消えていた。