第75章 再燃
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1月の暮れ――――――私は、どうしても相続の手続きなどもろもろの事情で1日だけ実家に帰らなければならなかった。
その際に、あの不気味な手紙の送り主を炙り出してしまおうとエルヴィン団長から持ち掛けられた。私が実家に帰ってしまってから付きまとわれたら―――――、確かに家族にも被害が及ぶ。私としても、終わらせておきたかった。
リンファと2人団長室に呼ばれて並んでソファに座ると、その向かいにはエルヴィン団長と、その隣にリヴァイ兵士長もいる。
「君たちは予定通りここを発ってくれ。わかっていると思うが、くれぐれも注意は怠らずに。」
「はい。」
「はい、ナナを守ってみせます。」
リンファの強い答えに、嬉しくも――――申し訳なさが募る。リンファだって、女の子なのに。
「間を開けて、リヴァイが追う。なにかあったら、遠慮なく人類最強を頼れ。もしものために、信煙弾も持って行くといい。リヴァイへの救援要請用に。」
私たちは信煙弾をひとつずつ受け取った。
「――――でも、なぜリンファなんですか?私は、彼女のことも……心配です……。」
エルヴィン団長に問う。
「そうだろうな、それはわかる。リンファにも無理を言っているのは承知の上だが―――――、恐らく、相手を一番釣れるのが、ナナとリンファの組み合わせだ。」
「――――………。」
「相手はきっと、衝動に突き動かされて罠にかかる。――――人類最強が、控えているとも知らずに。」
エルヴィン団長の目論見はまたもや、見事に的中することになる。