第73章 夜這 ※
「――――なぜだかわかるか?」
「………なぜ……?」
「――――俺に抱かれている間は……快楽に没頭している君は、まるで俺だけのもののように見えるから――――。どうやっても繋げない君の心の一部を、身体で埋めて繋ぎ止めようとしてる。――――馬鹿みたいだろう?」
リヴァイさんのことを言っているんだ。
エルヴィンはわかってる。どうしたって私の中から完全にリヴァイさんがいなくなることはないということを。
それを甘んじて、苦しみながらも受け入れてくれるのは―――――どんなに大きな愛だろうかと思う。
私が私の中からリヴァイさんを追い出してしまえないのなら、せめてエルヴィンに応えよう。
「――――馬鹿みたいなんて、思わない。」
「……………。」
エルヴィンの顔を引き寄せ額を合わせて、お互いの瞳しかその目に映らない程の距離で伝える。
「――――嬉しい。ありがとう、こんな私を愛してくれて……ありがとう、エルヴィン。側にいる。ずっと。愛してる、私も。」
目を閉じて唇を合わせると、エルヴィンは応えてくれた。
舌を絡めて、吐息と唾液が混ざる水音を聞きながら、エルヴィンの大きな手で掴まれ、先端を弾かれる胸の刺激に悶える。
「――――は……、ぁ……。………ね、エルヴィン……。」
「――――ん……?」
「私……夜這い、やってみたい。」
私の言葉に、エルヴィンはきょとんとした顔を向けた。
エルヴィンの胸を押し返して、その背をベッドに沈める。エルヴィンの腿の辺りに跨って馬乗りになって、少しの戸惑いの目を向けたエルヴィンのシャツのボタンを、ひとつずつ外していく。
その美しい肢体を暴くと、なんとも言えない劣情が沸き上がる。
ああ私―――――欲情しているんだ。
身体の芯が、疼く。