第73章 夜這 ※
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「――――だめ……!」
抵抗しようとしても、手首を押さえつけられてびくともしない。大きな身体が覆いかぶさって、とても抜け出すこともできない。
エルヴィンのその指が、触れるか触れないかの絶妙な力加減で身体を撫で上げてくる。
今まで性感帯だと思ったことがないような場所が、ゾクゾクしてくるなんて―――――これは、スリルというものの成せる業なのか……エルヴィンの色気に、当てられたのか……。
全身がいつもより数段敏感になっているような感覚に怯えていると、昨日と同様に襟元を力強く引き下げられ、ぷる、と胸を晒された瞬間――――その先端を食んだ。
「――――ぁあっ………!」
私が漏らした声を聞いて、エルヴィンがしー…っと人差し指を唇の前に立てる。その意地悪な目で見下ろされるのも――――悪くないと、思ってしまう。
心拍数が上がっていることが自分でもわかる。
エルヴィンはその人差し指で私の唇に触れると、そこに割り入った。
「んっ……む………っ……!」
「――――静かにな?」
耳元で意地悪く低音で囁きながら、ぐちゅぐちゅと口内をかき混ぜられ、蹂躙される。エルヴィンの声と息遣いが、まるで背中が引きつるような、言い知れぬ感覚に陥らせてくる。
「なぁナナ。いつも君が身体を寄せてくることを、俺はなんとも思わず平気でいると思うか?」
「――――……?」
引き抜かれた指と私の唇に、唾液の糸がひく。
「――――大人だから、経験があるから乱されないのかと、思っているかもしれないが。」
「…………。」
片方の口角だけを少し引き上げて、エルヴィンは私を射るように見つめる。その目に、ほんの少しの苛立ちを含んで。
「――――こうやって押さえつけて俺の下で鳴かせたい衝動を、必死に抑えてる。昨晩だって、本当はこうしたかった。」
「…………!」
ゾクリとする。毒のような色気と熱情で、本気で私を毒そうとしているのがわかる。
団長としてのエルヴィンしか知らなかった頃には想像もできないほど、本来のこの人は―――――とても激しい愛し方をする人だ。