第7章 調査兵団
「だ、だめだよサッシュ…………もうやめようよ……。」
「うるせぇ!!俺に指図してんじゃねぇよ、ビビりのビクターが!!」
サッシュさんは私の洋服の襟ぐりに手をかけた。
「……まずは危機感なく男をあおると、どうなるかから教えてやるよ………!」
その時、冷ややかな、でも確実に怒りが込められた低い声が彼の動きを止めた。
「………おいサッシュ。てめぇ何やってる。」
「ひっ…………リヴァイ……兵士長………!」
彼の手は、すぐに私を開放した。
「なぁ?何やってんだって聞いてんだ。答えろ。」
「いえ………っ………あの………!」
サッシュさんの声が震えている。リヴァイ兵士長の声は、今までになく怒りが込められているように感じた。
「……教育が必要なこいつに、教えてやってたんだろ?」
「…………そ……れは………。」
リヴァイ兵士長がゆっくりとサッシュさんに近づく。リヴァイ兵士長よりもサッシュさんの方が随分と身体が大きいはずが、まったく小さく見えた。
「新人を教育しようという気持ちは大したもんだが、俺の専属補佐を教育するのは、俺の仕事だ。違うか?」
「はい……その通りだと思います………!」
「二度と余計なことするんじゃねぇ。……訓練中に誤って、そのうなじ削がれたく無ければな。」
「は……はい………。」
リヴァイ兵士長が取り巻きの男たちも睨み付けると、彼らは脱兎のごとく逃げていった。彼らの背中を見送ると、ため息と同時にリヴァイ兵士長の冷ややかな目線がこちらに向けられる。