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【進撃の巨人】片翼のきみと

第72章 再生




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「話そう、ちゃんと。傷付けても傷ついても、向き合わない限り、私たちは前に進めない。」



――――本当はとても怖い。

もし分かり合えなかったら?もっともっと憎み合って、今度こそバラバラになってしまったら?

でもやらずに諦める事だけはしない。

調査兵団で学んだんだから。

戦うんだ、ちゃんと。

私たちの弱さと。

小さく震える私の手を、横にいたエルヴィンがそっと温かさで包んでくれる。途端に、私の心は落ち着きを取り戻した。

そんな私の様子を見て、家族間の話に立ち入りすぎるべきでないと判断したのだろう、エルヴィンはそっと後ろに下がって、会釈をして席を外した。ハルもまたそこに続くように席を外し、病室には家族4人だけになった。



「――――何年ぶりだろう、家族が揃うの……。」



私がぽつりとつぶやくと、父も母もロイも、目線を下げた。



「蟠りを解ける――――最後の機会だと思う。なぜ私たちはこんなに――――すれ違ってしまったのか……。今でも忘れない、13年前のあの日。お母様が家を出て行った理由をちゃんと知りたい。お父様とお母様の想い、私とロイの想いをそれぞれちゃんと言葉にして、伝えようよ……。」

「―――そうね……。」



母は一言同意してくれたが、あまりに時が経ちすぎたのか――――、傷を開くようなことになるのが怖いのか、誰も口を開こうとはしなかった。



「――――私は知ってる。お母様が、市民を少しでも救いたくて奪還作戦に医者として立ち会うことを志願したこと。そして、そのお母様を心配して涙を流すくらいに、お父様がお母様を愛していることも。」



私の言葉に、父と母は目を見開いた。



「お母様の生きる意味はなに……?私たちを置き去りにしてまで守りたかったものを、ちゃんと――――私たちに、教えて……!」



私の言葉に、ロイは目を開いて俯いた。

母の口から、他の男性のことが語られるのだけは、聞きたくない……きっと、そう思ってる。



「クロエ……君は、自ら―――――志願したのか……。」

「………そうよ。」

「――――なぜそんな危険を、君が冒す必要があったんだ……。ロイに頼んで、外してもらうことだってできただろう……。」



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