第7章 調査兵団
お風呂を済ませ、共同浴場から出ると、そこには数人の男性兵士達がたむろしていた。
「げっ!!」
「??アルルさ……、アルル、どう……したの?」
「早速だ……あいつら絶対、ナナ待ちだよ。相手にしなくていいよ!!」
アルルの言う意味が良くわからないまま、足早にその場を立ち去ろうと強く手を引かれた。その時、私の肩を強い力で誰かが後ろに引き寄せた。
「おい、挨拶くらいしていけよ、お嬢様?」
振り返ると、長身で、黒髪短髪の男がニヤッと笑みを浮かべながら、私を見下ろしていた。彼が中心人物なのだろう。他の数人の男は、すこしオロオロと心配そうにしている人物もいたが、ほとんどが遠巻きにニヤニヤしながら眺めていた。
「サッシュさん……!」
アルルが嫌そうな顔をした。警戒しているような顔だった。彼女の表情から、私はこの中心人物の彼の人となりをなんとなく想像できた。私はアルルの手をそっと離し、サッシュさんと呼ばれた彼の方に向き直り、礼をした。
「……失礼しました。新しく入団しました、ナナ・エイルと申します。宜しくお願い致します。」
「そうそう、挨拶って大事だろ?礼儀も知らないのかなって心配になったぜ?」
サッシュさんは、そう言いながら私の髪を指に絡めた。
「ちょっとサッシュさん……!」
アルルが険しい顔で私とサッシュさんの間に入ろうとしたけれど、私は手でそれを制し、サッシュさんを真っすぐに見上げた。