第69章 葛藤
翌日。
昨日の打ち上げで飲み過ぎた兵士達が青い顔で訓練に出ていた。サッシュさんもその一人だ。
「サッシュさん、大丈夫ですか?」
「いや………まぁまぁ辛い………。」
「飲み過ぎてたからだよ。だらしないな。」
リンファが冷たい目線を送る。そこへ声をかけてきたのは、同じく青い顔をしたゲルガーさんだ。
「サッシュの気持ちはわかるぜ、だってよ、久しぶりだったじゃねぇか……死者を弔う酒じゃなく、お互いを労う酒を飲んだのはよ。」
「……ゲルガーは弔いでも労いでも関係なくいつも飲み過ぎてるだろ。」
「……うるせぇなぁナナバ。」
ゲルガーさんとナナバさんは歳も近くてよほど気が合うのか、よくこうしてつるんでは悪態をついている。
「――――それはそうと、皆さん本当にお休みの日に協力してくださって―――――本当にありがとうございました。」
改めて私はみんなに向かって頭を下げた。
「いいんだ、とても楽しかった。それに来ていたみんなもとても楽しそうだったし―――――たまにはこういうのも悪くないね。」
ナナバさんはニッと笑んで、私の肩をぽんぽんと叩いた。
「そうだよ!毎年恒例になればいいね。医療班の子達も、来年はもっとチラシをこうしたいね!とか、ペトラやイルゼも来年への展望を楽しそうに話してた。」
「だな、年末年始の休み前の行事にできたらいいよな!」
リンファやサッシュさんの言葉が嬉しい。みんなが負担に思ったらどうしようかと、それはとても不安だったから。
「さ!!気分も上がったことだし、今日は気合入れて訓練するよ!!」
ナナバさんがみんなに発破をかけると、みんなはそれぞれの訓練場所へと散って行った。