第67章 下準備 ※
「――――それにリヴァイ、お前のためでもあるんだぞ?」
「あ?」
「お前が貴族との会食に行きたくないと言っていただろう。だから代わりにナナは自分に来ている会食に応じて、資金集めをすると言いだした。」
「――――……あ?」
そんなもん行かせられるわけねぇだろうが。本当にあいつはいつまで経っても危機感がねぇ。
「あちゃー、さすがにそれは行かせられないね。まぁ警備も兼ねてミケでも連れてけば大丈夫かもしれないけど!リヴァイが資金集めをするのと、自分がするのとでは意味合いが変わってきちゃうことにまだ気付かないか。賢いはずなのに世間知らずは相変わらずだね。まぁそこが可愛いんだけどさ。」
「―――――………。」
ハンジの言う通りだ。酔わされて犯されて終わりじゃねぇか。誰が行かせるかよ、だったら俺がクソ豚共の相手なんざいくらでもしてやる。
「だろう?一応は引き下がってくれたが、自分の力で役に立ちたいといって、この企画を出して来た。実に健気じゃないか、正直妬けるよ。私が会食に行くと言ってもあっさり送り出すからな。」
「はは!ナナらしいね!まぁでもエルヴィンは会食はどんな相手でも上手くやるし、リヴァイほど苦痛だと感じないでしょ?そのあたりも理解してるんだと思うよ。」
ああ、俺への封書を目にした時、確かにナナは微妙な顔をしていたが―――――そういうことか、行かせたくないんだな俺を、他の女のところに。
お前の中でも俺はまだ特別なのか。本当にどこまでも強欲で身勝手な女だよお前は。
心の中で悪態をつきつつも、俺は嬉しいと思うその感情を、無理矢理押し込めた。