第67章 下準備 ※
「ナナ、俺たちは看板とか装飾とか作ろうと思ってんだけど。」
「サッシュさん!わぁ、お願いします!……そういえばたくさん有志の方々を集めてくれたって聞きました。ありがとうございます……!」
「いや、――――なんか、ここ最近嫌な空気になるようなことばっかだったしな。気晴らしにもなっていいだろ。みんな―――――楽しそうで、良い顔してる。」
「はい!」
サッシュさんに笑顔を向けると、いつものように頭を撫でようとしたのか不意に伸ばされた手は、途中でぴた、と止まって引っ込められた。
私は、嬉しくなって小さく微笑んだ。
サッシュさんの中で、リンファが特別な女の子になったんだ―――――。それがたまらなく、嬉しい。
サッシュさんは恥ずかしそうに行き場のない手を頭にやってポリポリと掻いた。
「じゃ、また何か作るものの目途立てて報告するな!」
「はい!」
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「いやぁ~~~ナナの発想と人を巻き込む力はすごいねぇ!!」
「全くだ。みんな生き生きしているな。」
訓練場に集まって準備を進める兵士たちを団長室から見下ろしながら、ハンジとエルヴィンが嬉しそうに話している。が、俺は納得してねぇ。
「―――――………。」
「えぇ、なんでまたリヴァイはそんなに不機嫌なの??ナナがあんなに生き生きして頑張ってるのに。」
ハンジが俺の背中を軽くはたいた。俺はこの企画に反対だ。いくら利が大きくとも、それなりに危険がある。