第67章 下準備 ※
「――――だめ、ここは―――――仕事、する、場所………。」
「――――君の躾も大事な仕事だ。」
俺の言葉にゾクリとしたような顔をする。被虐心をそそられたのだろう。
「………エルヴィンは、とても……やらしいことを言う………。」
ナナは顔を真っ赤にして背けた。
「これでも抑えているんだが?」
「そうなの……?」
「――――初めて欲しい女を手に入れた中年男の欲を――――舐めないほうがいい。」
「……ふふ……エルヴィンは中年じゃないでしょう?」
「君より15も年上だからな。」
「気にしてるんだ。」
「………君が犯罪っぽいとか言ったからだぞ。そこそこ落ち込んだ。」
俺の言葉に、ナナはおかしそうに眉を下げて、目を細めて笑う。その笑った顔から一転、何かのスイッチが入ったように女の顔に変わる。
「――――その15年間で抱いた女の人達なんか全部忘れちゃえばいいのに。」
「――――………。」
その嫉妬を含んだ言葉に喜々としてしまう俺はなんて幼稚なんだろうか。
「教えてくれたらちゃんと覚えるから……エルヴィンの気持ちいいところ、好きなこと、したいこと――――全部教えて………。」
なんて顔でなんてことを言う……色々と素質があり過ぎだ。
ナナが俺の頬に添えてくる細い指先を、たまらず口に含んでガリ、と噛みしめる。
「―――――煽るなよ………。抱き潰すぞ。」
「―――――望むところ……。」
ナナは俺を見上げて淫靡に微笑んだ。
その言葉に誘発されたように獰猛に口内を貪って、団長という立場でいなければならないはずの場所で、ナナの中全てを自分の欲で埋め尽くした。