第67章 下準備 ※
「オーウェンズの娘が調査兵団に入った噂はそこそこ広がっているようだったが、その君が壁外へ出だしたことで―――――出立地の住民なども注目しているんじゃないか。トロスト区とクロルバ区からの手紙が多い。――――あとは、訓練兵からも。」
「―――――……。」
ナナは数々の手紙を手に取った。
「この中に、リヴァイ兵士長に来ているお話のような―――――お金になる話もありますかね……?」
ナナが嬉しそうに私を見上げる。ほら、こう言いだすと思った。だから君には見せたくなかった。
「………あるかも、しれないが――――。」
「なら私行きます!資金集めに役に立てるなら―――――!」
「駄目だ。」
私の言葉に、きょとんとした顔を向ける。
「なぜです?資金提供をしてくれる先がもっと増えれば―――――、壁外調査も長期での作戦を立てられたり、ハンジさんが今研究開発している装備の試作にももっとお金をかけられたり、有益に使えるじゃないですか……!」
「駄目だ。君は行かせない。」
「なぜ……リヴァイ兵士長はいいのに……?」
「リヴァイは例え危機に瀕しても自分でなんとかできる。それに彼は男だしな。」