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【進撃の巨人】片翼のきみと

第66章 垂訓






「―――――気持ち良かったか?」



「は………?」



「自分を慕う幼気な少女を組み敷いて犯して、その心を殺して、成長してもなお消えない悪夢を俺達に植え付けて――――――、気持ち良かったか?って聞いてるんだ。」





感情のない冷え切った目を向けると、男はガクガクと震え出した。



「や……やめてくれ、悪い……、本当に………!反省してる……っ……!」



男はみっともなくその場に額を擦りつけて土下座した。

―――――誰に対してだ、そのただの醜いパフォーマンスは。くだらない。

俺は尚冷めきった目でそれを見た。



「こ、殺さない……で……っ………!」

「―――――はは、嫌だな。殺すわけないじゃないですか。」



男の目線に合わせて、しゃがんでそう告げると、心から安堵したような顔で俺を見上げた。







「―――――あなたは王政の定める禁忌を犯した。人類史に疑問を持ち、王が築いた尊いこれまでの歴史を偽りだと流布し、民衆を良からぬ反乱行動へと先導しようとしている。」





「―――――………は………?」





「――――一緒に来てもらいますよ?」







俺のその言葉で、木陰からサネスさんが姿を表した。







「――――駄目じゃないかアーチ。証拠もない民間人にそんな疑いをかけては。」





「………っ……そ、そうだ……!なんの話だ一体……!王?反乱行動?!そんなわけあるはずないだろ……!どこが反乱なんて企んでいるように見えるんだ…っ………?!」





「―――――証拠?ありますよ。ほら。」







俺は胸ポケットから文字の書かれた紙を取り出した。







「“王の掲げる人類史に嫌疑あり。真実を暴くべく、革命を企てるための同志を募る。”ほら、そしてあなたの名前が書いてある。」





「――――名前だけじゃ弱いぞアーチ?血判もあれば誰も文句を言えない。」





「了解です。」







話が読めないと言った顔で混乱を極めた男の手を取り、ナイフでその指先を切りつける。





「うっ………待て、何する気だ……!」





男の指を紙切れに押し付け、血判をとる。





「証拠の―――――“完成”だ。」




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