第66章 垂訓
―――――――――――――――――――
「――――今日も兄と姉が来ていたんだろう?随分愛されているじゃないか、アーチ。」
にこにこと話しかけて来るのは、俺の行動をつぶさに見ているサネスさんだ。
今回の一件で気付いてしまった。
俺が中央憲兵に入団してからサネスさんが逐一俺の行動をよく見ているのは、可愛がっているからじゃない。
―――――監視しているんだ。
王にとって不利益な行動を俺がしないかどうかを、見張ってる。
俺はなぜそれを、信頼されている……可愛がられていると勘違いしたのだろうか。
―――――でももうそれもどうだっていい。これから俺は、あんたの――――――サネスさんの望む通りになってやろうじゃないか。
「――――サネスさん。反乱分子かどうかの判断って――――誰が、いつ、どうやって下すんですか?」
「ん?」
「詳しく聞かせてください。」
「――――どうした、随分な心境の変化じゃないか。」
「――――中央憲兵に骨を埋めるって決めました。だから残酷なその仕事も―――――やってみせますよ。教えてください。」
「―――――いい子だ、いい子だな、アーチ。これから存分に王の為にこの誇り高い仕事を全うしようじゃないか。」
サネスさんはこれまでにないほど、優しく微笑んで俺の頭を撫でた。