第65章 脆弱
「当たり前でしょう、俺もう15ですよ。」
「――――でも、面影は変わってない。昔の、心優しいアーチのままだね。安心した。」
リンファがアーチを見つめて笑うと、バツが悪そうにアーチは眉を顰めた。
「おいアーチ。話すことがあり過ぎて何から言っていいかわかんねぇが―――――、お前とりあえず中央憲兵辞めろよ。」
「サッシュ、直球で剛速球投げないでよ。普通もうちょっと話の入り口ってもんがあるでしょ。――――…こっちおいでアーチ、座ろう。」
リンファに促されたベンチを避けて、アーチは斜め前にある花壇の古びたレンガの淵に腰かけた。
「――――……兄貴に指図される覚えはない。」
その一言にカチンと来る。
「―――――俺は許してねぇからな。ナナを攫ったこと。」
低く呟くと、アーチがぴく、と反応した。
「ちょっとサッシュ。………でも、それはあたしも同意見だ。あたしたちの大事なナナを危険に晒したことは、怒ってる。」
「――――任務だったんだ。仕方ないでしょう。」
「――――だからそんな任務のある中央憲兵を今すぐ辞めろっつってんだよ。」
「うるさいな。中央憲兵の仕事を汚いとでも言うのか?この世界を統治するために―――――王の威厳を守るために必要な仕事だろう!」
アーチが声を荒げた。何がお前をそんな風にさせたんだ。
「――――俺は王の統治だか威厳だかはよくわからねぇが、少なからず25万人を壁の外へ刈り出して巨人に食わせておいて――――――この王都だけが何事もなかったかのように裕福に維持されてるってこの事実だけで―――――……ろくなもんじゃねぇと思ってる。」
「―――――………!」
国民のため?それならもっと身を削ってできることがあるだろうがよ。ウォール・マリアを取り返すことを、真剣に考えているとも思えねぇ王政に俺はうんざりしている。