第64章 思惑
「装備の開発までハンジさんが着手されるんですか?驚きました……それは技巧士の仕事だと思っていたので……。」
3つの兵団以外に、立体機動装置や武器全般の開発や生産を行う組織がある。
ウォール・マリア奪還計画の時には生産部門の方々に頼み込んで立体機動装置の増産をすることになったが、こういった新しい武器の開発に関してはスペシャリストの“技巧士”が集まる組織が担当している。
「いや、そうだよ!なんだけど、希望ばっかり言って後は技巧士に丸投げってどうなのって思ってさ。おおよその仕組みとか構想とか、可能であればサンプルみたいなのを作れたらいいよなと思って。」
「さすがハンジさん、素敵です……!」
役割の垣根を越えて自分のやれることをやろうとするハンジさんの姿勢と、道は違えど同じく心臓を捧げた別の組織の人たちに敬意をもって接するところが、たまらなく大好きだ。
「いや照れちゃうじゃん!……ありがとうナナ!ナナと話すと、なんだかいつもヒントが見つかったり、その後の仕事が捗るんだよね。」
「いえ、ハンジさんとこうしてゆっくりお話しするのは久しぶりで……私もとても嬉しくて。」
私が笑うと、ハンジさんは頭を撫でてくれる。
「そうだよ!最近はエルヴィンがずっとナナを独り占めしてるからさ、なかなかこうして話せなくて寂しかったよ。そう、そういえば―――――エルヴィンと生きることに、決めたんだね?」
「―――――はい。」
「リヴァイのことは、もう吹っ切れたの?」
「―――――……。」
「―――――そんな簡単じゃないよね、あなた達の関係は。」