第64章 思惑
「サッシュ、アーチは元から神や王などへの信仰心に厚い人格なのか?」
「………いえ、そこまでは………ただ一度信じたもの、信じられなくなったものには頑なな……奴です。」
「そうか。―――――中にはいるからな、神や王に心酔してそれを理由に人を殺せる人間が。」
アーチさんへ問いかけた時の反応が思い返される。確かに、それに関しては否定をしようとした。今ならまだ、止められるのかもしれない。
「エルヴィン団長。サッシュさんにアーチさんを止めてもらうことに、私も賛成です……!アーチさんに尋ねたんです。王のため、リンファの為だと言って、あなたはいずれ人を殺すのかって。そしたらとても苦しそうに―――――、違う、と………。」
「――――………そうか。」
エルヴィン団長は少し考えた後、顔を上げてサッシュさんを見た。
「いいだろうサッシュ。何日必要だ。」
「ありがとうございます……!3日あれば……!」
「わかった、予定を立てたら報告してくれ。なるべく早い方がいい。また次の壁外調査に君の力は必要だからな。」
「はい………っ!」