第63章 番 ※
「――――ぅ、……っは…………!」
何て切ない声を出すんだろう。
私の思考はエルヴィンの声で淫らになっていく。そう、私がこうすることを、あの時想像していたって言った。
――――望む通りに、してあげたい。私は床にしゃがみ込むと、エルヴィンのそこに、小さくキスをした。
「――――ナナ、やめ…―――――……あぁ………っ……。」
口を大きく開く。屋台で買ってもらったパンを頬張った時よりももっと大きく。そしてそれを、口に含んだ。
上手く出来ているのかわからないけれど、上目にエルヴィンの反応を確かめながら、頭を前後させて快感を煽る。
「………っ……男を悦ばせる方法を――――リヴァイに教えられたのか?」
「…………!」
見下ろすその目は、知っている。嫉妬の闇の色だ。怯えと共に私はかすかにぞくりと、していた。
エルヴィンは私の腕を引き上げて身体を起こすと、鏡に向かって手をつかせ、私の腰を引き寄せた。
「……え…………?あ……や、………待っ…………!」
「――――待てない。大丈夫、もうこんなに濡らしてるじゃないか。――――咥えてるだけで濡れたのか?本当に、素質があるな。」
「――――……ちが、あの………やっ…。」
「―――――本当に嫌なら、やめるが?」
「…………っ……。」
その意地悪な言葉にNoと言えるはずもなく、私は観念して覚悟した。
入り口を2、3度往復して愛液を絡めて、その熱い杭を打ち込まれた。ゆっくりと、でも―――――私の中を蹂躙するほどの質量で。
ざぁぁ、と降りかかるシャワーに打たれ、体内にそれを打ち込まれ、小さな水滴がいくつもはじけ飛ぶ。身体がぶつかるその音も水気を含んでいつもと違う音を醸す。
アルコールとシャワーが私の体温をより上げて、頭の芯まで溶けそうだ。