第63章 番 ※
ハンジの言葉を思い出す。
『ナナをどうするつもりなの?』
笑い話にもならない。
どうするもなにも、どうにかされているのは俺の方だ。
調査兵団で父の悲願を叶えるために創り上げた人格とは別に、元々俺に備わっていたのであろう愚直で嫉妬深く独占欲の強い自我がナナを得たことで大きくなり始めた。
「―――――怖い女だよ、君は……。そこがまた堪らなく、ゾクゾクする―――――。」
ナナの体に丹念に舌を這わせる。耳の後ろ、項から脇、手足の指先に至るまで全て。
ナナの体に、俺が触れていない部分などなくていい。
真っ白なキャンバスに色を乗せるのは、想像通りに完成するだけでいささか退屈だ。少し色が乗ったキャンバスにこそ色を重ねるのは面白い。どんな色になるのか、そのキャンバスがどうなってしまうのかさえ未知数だ。
リヴァイが愛でた以上に可愛がって、愛して、乱して、どろどろにして―――――俺の色に染め変わった時……それはどんなに恍惚とした達成感だろう。
これは愛か、欲か。
初めての感覚に戸惑いと快感を覚える。
「――――あ……や、やだ……っ……。」
体中に唇を這わせ、その蜜のしたたる場所へ辿り着こうとすると、ナナが腿を固く閉じて拒否をした。
「シャワー、浴び……ます……っ……!」
「……だからさっき何度も言っただろう?応じなかったナナが悪い。」
「……ごめんなさい、言う通りに……するから………。」
「駄目だ。そのままの君を味わうともう決めた。」
力を込めてぐぐ、と足を開かせると、必死に抵抗するも全く意味をなさず、目の前に蜜の滴るピンクの花びらが晒される。
「綺麗だ。」
「や、だ……おねがい、エルヴィン……おねがい………。」
懇願するナナも堪らなくそそるが、お仕置きも兼ねてその花弁から花芯を、その目を見上げながら舐め上げた。
「―――――ぁあ…っ……!」
ビクッと身体を震わせて涙を滲ませる。はぁはぁと息を乱して見つめるその目に、俺は弱いんだ。
「――――ほら。おいで、シャワーを浴びよう。」
ナナを抱き上げると、真っ赤な顔を俺の胸に埋めた。