第62章 帰還
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予定よりも半日早く、作戦を中断して調査兵団は帰着した。
門をくぐると、ナナの捜索を依頼していた駐屯兵団の捜索隊が目に入った。報告をしに来たのだろう。
そこには、ピクシス司令の姿があった。
「…………!ピクシス司令!」
「おおエルヴィン。……予定より随分早い帰着だったのう?」
「はい―――――……作戦を中止せざるを得ない状況でした。」
「まぁその話はおいおい詳しく聞きたいところだ。それで、わしの気に入っとるナナが行方不明だと聞いた。今捜索を続けているが―――――……いかんせん手がかりもなにもないそうでな、難航しておる。ウォール・ローゼへの門はすぐに検問を敷いたが、それらしき通行はなかった。――――まだ、このトロスト区内にいるものだとは、思うが。」
「わざわざ痛み入ります……そして、そうですか……見つかっていないのですね。」
「―――――ちっ………、エルヴィン、お前は兵団を率いて戻れ。………死傷者が多いんだ。こんなところで油売ってる間に死ぬ奴が出る。」
「リヴァイ、お前はどうするんだ。」
「俺が探す。――――サッシュとリンファも連れてな。」
「ああわかった。任せよう。」
許可をすると、リヴァイはピクシス司令に挨拶もせずに踵を返して立ち去った。
「おお、人類最強は壁外調査でも傷一つなしか。さすがだな。」
「――――――ええ、頼もしいですよ。」
ピクシス司令に今日一日は駐屯兵団の手を借りられることになり、ナナの捜索が続けられた。
今回の壁外調査では170名中38名が死亡、重傷者10名、軽傷者40名。作戦を成し遂げなかったにも関わらず前回を大きく上回る死亡率を記録した。
リヴァイがあの時マシューを止めていなければ、もっと大きく兵を失っていたかもしれない。
マシューは生きて捕まえるべきだったが、そんな時間的余裕もなく拘束も不可能だったゆえにリヴァイがその場で切り捨てたと言っていた。
―――――――つくづく、リヴァイには嫌な役割ばかり押し付けていることになる。