第6章 入団
ナナの声は透明で、温かい。
ワーナーがナナに癒しの女神の名をつけた理由がわかった。もちろんどんな意味の詩かは全く分からなかったが、その歌声は、俺の黒いものが渦巻く胸中を、晴らしてくれる気がした。
「…………お耳汚し、失礼いたしました。」
ナナは俺に向かって一礼する。
「……いいもんだな。」
「身に余るお言葉です。」
「………俺のために歌ったその歌は、どういう意味の詩なんだ?」
「!!」
俺の問に、ナナは急に頬を赤くして俯いた。
「……なんだ、言えねぇような内容か。」
「い、いえ………。」
「そうか。まぁいい、いずれまた聞かせてくれ。………それで、本題だが。兵服を持ってきた。おおよそサイズも合うだろうが、もし合わなければ言え。」
「は、はい!ありがとうございます!」
「それからお前の部屋の鍵だ。女子寮の四人…………いや………今は三人部屋だ。午後の訓練が終われば同室の奴らも帰ってくる。それから部屋の使い方はそいつらに聞くといい。」
「はい。」
「今日の夕食前に、エルヴィンが兵士達にお前の入団を伝えると言っていた。今からは………そうだな……入室の準備時間は必要か?」
「いえ、身ひとつで参りましたので……着替えるだけで、特に準備時間は要しません。」
「そうか、では着替えて部屋の確認をしたら、団長室の隣にある俺の執務室へ来い。専属として、しっかり今日から働いてもらう。」
「はいっ!」
ナナはとことん嬉しそうだった。