第60章 慕情 ※
「――はは…っ……、女性からその発言はなかなか珍しいな。…なぜ、そう思う?」
「体……ッが、より奥に……男性を……誘うように……っ……なっている、気がして……。」
私が言った瞬間、その言葉を肯定するように、両腕を引かれて最奥までねじ込まれた。
「―――――っ………は、ぁッ………!」
「――――まさにその通りだと思うよ。絡みついて、離さない。精を絞り出そうとしているようだ。それにほら……より奥に誘うように、入りやすくするために、こんなに濡れて……。」
それからまたゆっくりと粘着質な音を立てながら、私の中を出入りする。
「――――奥に……、当たると…っ、――――何も考えられなく、なる…………。」
「本当に面白いな君は。普通の女性は愛を確かめる行為だと思いたがるぞ?」
「――――それも、理解……っ……でき、ます……。」
「――――君にとっては、俺とのセックスはまだそうじゃないんだろう?」
「…………!」
そんなことはない、と言わないと。
愛している。
そうだ、形は違っても私はエルヴィンのことを――――――。
「そんな焦った顔をしないでくれ。余計に傷つく。」
エルヴィンは眉を下げて困ったようにはは、と笑った。
「――――いいんだ、それもゆっくりでいい。先に我慢できずに手を出したのは俺のほうだ。――――君が嘘をつけない人間だということは、よく知っている。」
「――――嘘をつけるように、なりたい。」
「――――大人になろうとしてるのか?なら練習が必要だ。」
一度奥までずん、と貫かれる。
「――――っあ……は……!」
私はとんでもなく非情なことをしている。
……大人なエルヴィンの懐の深さに甘えて。
エルヴィンは私に覆いかぶさって切ない瞳を向けて、私の頬に手を添えて言った。