第60章 慕情 ※
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息も切れ切れに懇願する。
欲しい。
もどかしい。
身体をぎち、と満たされていれば、自分がここにいることを強く認識できる。エルヴィンのためじゃない、私は自分の快楽のためにそれを欲しがっていた。
私の言葉に、満足げにサディスティックな色を宿した蒼い瞳を細めて、エルヴィンはそれを躊躇することなく私の中に埋めた。
肉をかき分けて、身体が二つに割かれてしまうんじゃないかと思うほど熱く、固く、滾ったものが体内に収まる。
「――――――っあぁ………っ………!」
「―――――っく……、ナナ……少し動いて、いいか………?」
私はぼんやりとした意識のまま小さく頷いた。
痛くないわけじゃない。まだその質量に身体が慣れていないのか、ひきつるような痛みもある。
でもそれを凌駕するほどの愛しさと興奮が沸き上がってきて――――――抜け出せなくなっていく。
エルヴィンは律動を始め、またゆっくりと、でも大きく、子宮が揺さぶられる。
「――――ふふ………。」
「どうした?痛いか?」
私は笑いをかみ殺したつもりだったのだが、すぐに気付いてエルヴィンは私の頬をさらりと撫でて問う。
「……っいえ……、な、んでも…っ………。」
「なんでもなくても、聞きたい。」
「―――――そう、いえばこれは…っ……ッあ…っ…!……子孫を…残すための、行為なんだって、実感……してしまって。」
聞きたいと言ったくせに、エルヴィンは目を丸くして驚きを現したあと、吹き出すようにして笑った。