第5章 絶望
「……そうか。では兵士長の専属補佐としよう。それなら文句はないな?」
「……………。」
「えっ………リヴァイ……兵士長の……ですか?」
「ああ。兵士長という職は新しくできた役職で、執務内容や体制を整えなくてはならない。特に彼は兵士長である前に、人類で最強の戦力だ。実戦と執務を一人で両立するのはなかなか困難だ。力を貸してやってくれるかい?それを条件として、君の入団を認めよう。いいな、リヴァイ?」
リヴァイ兵士長は不機嫌な表情のまま、そっとエルヴィン団長の掴んでいた胸元を離した。
「……………了解だ。」
入団が許可された。その安堵と喜びが込み上げ、私は頬を上気させて満面の笑みで礼をした。
「あ、ありがとうございます!!」
「…………。」
一瞬、エルヴィン団長が制止したように見えた。
「………エルヴィン団長?これからどうぞ宜しくお願い致します。」
「あ、ああ。こちらこそよろしく。」
エルヴィン団長は椅子から立ち上がり、私に右手を差し出した。私はそっと手に触れ、固く握手を結んだ。その手は大きく温かで、まるでエルヴィン団長の人柄そのものだった。この人の元で役に立ちたいと、強く感じた。
「では、入団の手続きはこの用紙に必要事項を書いてもらおう。部屋や兵服の準備を進めてから追って声をかける。それまでは……そうだな。今のままハンジの研究室で少しだけ待っていてくれ。」
「はいっ!!」
私は差し出された入団届けにサインをする。
一瞬手を止めたが、意志を込めて名前を書いた。
届けをエルヴィン団長に渡して、一礼する。
「それでは、失礼させて頂きます。」
私は団長室を後にし、軽い足取りでハンジさんの研究室に戻った。