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鬼滅の刃〜炎の絆〜

第4章 ご都合血気術


いつものように鬼殺隊として鬼を狩る任務を遂行し、帰宅する途中で事件は起きた。応援要請が出たため、偶々近くにいた桜が駆けつけ、座り込んでいる隊士を守るように鬼と隊士の間に入り込んで頸を斬ったところまでは良かった。

そう、問題はここからだ。

桜が斬った鬼は、座り込んでいる隊士に向かって血気術を発動させようとしていたところだったのだ。そして運悪く頸を斬ったタイミングで放たれてしまい、もろに血気術をくらってしまったのである。



「だっ、だだだだ大丈夫で…じゃないです、よね」

座り込んでいた隊士はハッとして慌てて桜の側に近寄った。

「…お兄ちゃん、だれ?」

首を傾げて不思議そうな顔をした桜の姿は、どこからどう見ても4、5歳前後の幼女だった。しかも記憶まで幼くなってしまっているようだ。助けてもらった隊士…村田は頭を抱えた。助けてもらったのはありがたいが、よりにもよって何でこの人に血気術が掛かってしまったんだ、と。

いや、自分が幼くなってしまうのも真っ平ごめんなのだが、相手が相手なのだ。

怖い。マジで怖い。

ブルブル震えながら、隠と共に煉獄家へと赴き、この状況を説明しなければいけないと思うと泣きそうになった。顔を覆っている両手の隙間からチラッと桜の方を見ると、すぐに駆けつけてくれた隠と一緒に楽しくお話ししているようだ。

…逃げたい。このままどこか遠いところへと。

そんな考えが頭をよぎるが、そもそも逃げたところでいいことなんて一つもない。あの炎柱のことだ。地獄の果てまで追いかけてきて「何故このようなことになったのか説明願えないだろうか!」と問うに違いない。一人悶々と考え込んでいると、背後からそっと肩に手を置かれ耳元で声をかけられた。

「こんばんは。今日は月が綺麗ですね」
「ぎゃーーっ!」

いきなりだったこともあり、村田は思わず飛び跳ねて振り向き様に尻餅をつく。

「あらあら、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか」
「こ、胡蝶様!」

クスクスと笑いながら村田に話しかけたのは蟲柱の胡蝶しのぶだった。

「さて、私の目的はあなたの後ろにいる女の子なんです」

へ?と後ろを見ると、そこには隠と一緒に自分の近くまで来ていた桜がいた。胡蝶の登場に驚きすぎて気づくことが出来なかったのだ。


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