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鬼滅の刃〜炎の絆〜

第3章 家族の絆ー後編ー


暗闇の中に幾千もの光。大きさは大、中、小と様々でまるで夜空に輝く星のよう。

けれど、どちらかと言えば夜空より宇宙と言った方がたしっくり来るこの空間は桜の無意識領域。


「こんな無意識領域、初めて見た。……なんで綺麗なんだろう」


一人の少年は精神の核を探す為、無意識領域へと入った。

入ったはいいが、そこは無限に続く宇宙のような綺麗な場所で、自分の醜い心がこの暗闇に溶けていきそうだ。

足を進めていくと、そこには赫く燃えるような丸い球。一際輝くその球は紛れもなく桜の精神の核だ。

この核を壊せばいい。壊さなければいけないのに何故だろう、そんな気にはなれなかった。

「……こんばんは」
「!!」

後ろから声をかけられて振り向くと、そこには桜が微笑んで立っていた。だが、何故かその笑顔が怖くて背筋が凍る。

そこでなんとなく理解した。

こんなにも綺麗な無意識領域だけれど、この暗闇は彼女の心の闇なのだと。


じゃあこの幾千もの光は……?


「君の目的はソレですか?」

桜が指差した先にあるもの、それは精神の核だ。

「……っ」
「今回の鬼は人間を味方に付けてるんですね」

桜はそっと少年の頬に触れる。その手はひんやりと冷たくて、緊張して心臓がバクバクしている自分には心地良かった。

「…素敵な夢を見たい気持ちもわかりますが、所詮夢は夢。相手は鬼です。悪夢になることだってあるんですよ」

悪夢と化す前に一緒にここを出ましょうか、と優しく微笑んだその笑顔は、先ほどの冷たさは感じられない。


きっとこの幾千もの光は、彼女の優しさなんだ。


「……ごめん、なさい」

小さくポツリと呟いた少年の言葉は確かに桜の耳に届いた。





*****





目を覚ますと、列車の中は何やら大変なことになっていた。

気持ち悪いものがウジャウジャいて人間を取り込もうとしているではないか。

そしてどうやら桜が一番最後に目覚めたらしい。一緒に座っていた杏寿郎や三人組はもういない。

「柱として不甲斐ないわ……!」
「あの……」

穴があったら入りたいと思っていると、後ろから声をかけられた。夢で会った少年だ。

「…どうか気を付けて」
「ありがとう。…君たちのことは必ず守るからね」


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