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鬼滅の刃〜炎の絆〜

第3章 家族の絆ー後編ー


「姉上!」


煉獄家の門からひょこっと顔を出した千寿郎は、嬉しそうに走り寄ってきた。その姿が可愛くて、思わず顔がニヤけてしまう。

「背、伸びたね」

昔は自分より小さかった千寿郎だが、いつの間にか目線は同じになり、今ではもう桜よりも高い。成長期真っ盛りなので、まだまだ大きくなっていくのだろう。

「はい!……早く兄上のようになれたらいいなと思ってはいるのですが」

「まだまだ追いつけません」と少し寂しそうに話す千寿郎。

この可愛い千寿郎がいずれは杏寿郎や父上と同じになるのか…と思うと、いつまでもこのままでいてねと思ってしまう。

桜は千寿郎の肩にポンッと手を乗せる。

「千寿郎は千寿郎の思う道を進めばいいと思うの」

千寿郎が自分に剣才が無いことを悩んでいるのは杏寿郎も桜も知っている。それでも一生懸命頑張っているから、杏寿郎が時間の合間に見てあげていることも知っている。

「私は煉獄家の人間だけど、炎の呼吸を使いこなせなかった」
「……!」
「今までの努力は必ず身に付いている。あなたは決して弱くない」
「姉、上……」

泣きそうな顔をした千寿郎を見て、頭を撫でてあげた。そしてフッと笑い優しい表情をする。

「千寿郎が呼吸を使えないのには意味があると思うの」
「意味、ですか?」
「そう。姉弟の中で炎の呼吸を使いこなせるのは杏寿郎だけ。だから……例えば杏寿郎の次の炎柱はもう必要ない、とか」
「必要…ない?」

意味がわからず首を傾げる千寿郎。

「きっと…近い未来に鬼のいない時代が来ると思うの」
「鬼のいない時代……」
「千寿郎は文才に長けている。だから、いつか煉獄家に訪ねてくる子がいたら、その子を助けてあげてね。きっと鬼殺隊の力となるから」

お願いね、とそう言って千寿郎を抱きしめる。

「心の思うまま、自分の進むべき道をいきなさい。私はずっとあなたの味方だから」

桜の言葉に千寿郎はぎゅっとしがみつき、肩に顔を埋めて啜り泣く。そんな千寿郎の頭をもう一度撫でてあげた。

「…俺、姉上に頭を撫でて貰うの好きです」

千寿郎の言葉に桜はキョトンとする。

「えっと…だから、帰ってきたら頭を撫でて“ただいま”と言ってほしいです。約束です!」
「…うん、約束」





「姉上、行ってらっしゃいませ!」


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