第2章 家族の絆ー中編ー
凄い勢いで桜の側による不死川にちょっと引いた。
「那田蜘蛛山にいたよ」
「那田蜘蛛山ァ?そこには冨岡と胡蝶が派遣されてた筈だ」
不死川はチラッと胡蝶の方を見ると、「確かに那田蜘蛛山にいましたよ」と答えてくれた。
え、私って信用ないの?なんて思ってると「お館様のお成りです」と声が響いた。
その言葉を合図に皆一斉に膝をつき頭を下げる。
不死川が丁寧に挨拶をした後、炭治郎と禰󠄀豆子のことについて聞いた。
お館様は二人のことを黙認していたこと、認めて欲しいことを改めて柱に話すが、皆が属しているのは鬼殺隊。鬼を滅するための組織なのだ。賛成派より反対派の方が当たり前だが多かった。
途中鱗滝さんからの手紙も読んだが、切腹するからなんだ、とあまり効果はなかった。
そして不死川は「醜い鬼は皆同じだと証明して見せますよ」と言って、稀血である自分の血を使って禰󠄀豆子を引き摺り出すも、禰󠄀豆子はそれに耐えた。人を襲わないと証明されたのだ。
「これで禰󠄀豆子が人を襲わないと証明できたね」
お館様は静かに言った。そして桜の方に視線を向ける。
「桜、君の意見はどうなんだい?」
お館様の言葉に、皆が桜の方を見た。
「…私は、炭治郎くんと禰󠄀豆子ちゃんを信じます」
「……!!」
「半年間、この目でしっかりと見てきました。人間を守るために鬼と戦う姿を」
桜は優しい表情で炭治郎の方を見る。
「二人の絆は私たちが思っている以上に強く結ばれています。自分が傷ついてでも守る姿は…鬼ではなく人間そのものです。誰が何と言おうと、私は二人を鬼殺隊の一員として認めます」
「……桜、さん」
炭治郎の目から涙が溢れ出る。桜からは色々な感情の匂いがして、正直禰󠄀豆子のことをどう思われているのか分からなかったのだ。
鬼殺隊の一員として認めてもらえることがこんなにも嬉しいなんて思いもしなかった。
「ありがとう、桜。君に託して正解だったようだ。これからも宜しく頼むね」
「御意」
話も終わり、炭治郎は蝶屋敷へと運ばれていった。途中、不死川に頭突きしに戻ってきた時は笑いそうになったが、時透に石をぶつけられて隠に連れ去られていった。
意外と根に持つタイプなのね。