第19章 お別れと始まり
「…イタチはこの後、”暁”という犯罪組織に入ります。その組織を見張る為に。暁の首謀者は…うちはマダラなので。」
「マダラだと!?」
「正確にはマダラの意志を継いだ者です。
イタチはその組織を見張り、木の葉を守る為に動くでしょう。けれど、止めきれません。その前にイタチの寿命が尽きるから。それを承知でサスケに殺されてやるつもりですから。」
私は視線を上げて綱手様を正視した。
「私はイタチを助けたいんです。その為にあなたから医術を学びたい。」
私の目を見て、綱手様は眉を顰める。
「…断ったらどうするつもりだ?」
そう…。
弟子入りさせない、と。
私の中に怒りが膨れ上がるのを感じた。
目が、熱い。
「断ったら…この足で暁に向かう。」
うん、それがいい気がしてきた。
「イタチを少しでも助ける為に、私はこの手を血で染める。」
どんな事をしてもイタチを守る。
「お前…!」
「綱手様…!」
二人は私の顔を見て顔色を変えた。
「万華鏡写輪眼か。」
綱手様の呟きに、内心驚いた。
って事は私は今、開眼してるって事だ。
心当たりはあった。
きっかけは、兄ちゃんの死だ。
皮肉なものだと思った。
奇しくも兄ちゃんの死が万華鏡の花を開かせた。
まるで彼岸花みたい。
「私はこの眼を使って何でもやる。人の命なんて、もう厭わない。」
里は結局、何もしてはくれなかったのだから。
私達うちはは、里にとって邪魔以外の何ものでもなかった。
自分さえ良けりゃそれで良し。
人はそうやって生きていくのよ。
「…なら、教えれば厭うのか?」
…どうなんだろう。
兄ちゃんを殺した奴らを厭う必要があるのだろうか。
人は人を蹴落として生きていくのだ。
弱肉強食。
騙し騙され、追い抜き追い落とし。
その中で残った者が今を生きる人たち。
だったら、私だって同じ手段を取って何が悪い?