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もう一度、を叶えるために。first

第18章 記憶喪失に…なりました?




そして、やってきました。
十二月二日。

自分の戸籍?登録書?を見る機会があって見てみたら、なんと今日は私の誕生日だった。ツイてるわ!

入里審査を受けるために、出入り口のあ・うんの門に並ぶ。
順番が来て、サキさんとナツさんはすんなり通れたのに私だけ何だか時間がかかっている。

「これは…、通すわけにはいきませんね。」

待った後に返ってきたのは里外への外出禁止。

「何で…!?」

「君には前科があるからだ。」

「何の!?」

「…里転覆の容疑だ。」

一人は苦笑し、一人は顔を顰めている。
そんな事言われても…!

「記憶にございません!」

「でしょうね…。とにかく、外出の許可は出せません。」

「そ、そんなあ…。」

今日すっごく楽しみにしてたのに…。

私は引き下がるしかなくて、とぼとぼと先輩達の元へと歩いていく。

「…すみません。私、里から出ちゃダメなんだそうで…。一緒に行けなくなりました…。」

「あー…、うん。少し聞こえたわ。まぁ、仕方ないわよ。」

「そうね、事情は何となく分かってるし…。お土産買ってきてあげるから、元気だしなよ。」

「ありがとうございます…。これ、少ないですけど、足しにしてください…。」

そう言って二千両が入った封筒を差し出した。

「分かったわ。これで幾つか見繕って来てあげる。」

「じゃあね、エニシ。」

「いってらっしゃいませ…。」

私は力なく笑って二人を見送った。
その姿が見えなくなった頃、がっくりと首を垂れて肩を落とした。

「はあぁぁー…。」

とんだ誕生日になっちゃった…。

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