第15章 うちはの里を作っちゃおう 1
「今日の任務は、――」
申し送りでフウマさんから託されたのは、それはそれは貴重な巻物…、だそうだ。
私には価値なんかよく分からない。
中も見てはいけない決まりだし。
今日の任務は里外のとある場所に、これを届ける事。
そしてメンバーは、珍しい事に兄ちゃんと私とイタチ。つまりは監視なしの構成なのだ。
…逆に勘繰りたくなるのは私だけかしら?
ま、とにかく。
私達は、あうんの門に集合し恙無く道程を熟し中。
拍子抜けするくらい誰に会うこともなく、もちろん襲われる事もない。
そんなわけで、私達はすんなり目的地に到着。
「うむ…、確かに受け取った。ご苦労であった。」
「ありがとうございます。」
お偉いさんに巻物を確認してもらって、「受け取りました」のサイン的なものを貰い、恙無く任務完了です。
「順調すぎて怖い。」
思わず自分の肩を抱き込む私。
「何が怖いんだ?」
「だって何のトラブルもなかったんだもん。」
「トラブルがないのが普通じゃないか?」
なんて兄ちゃんとちょっとアホな会話をしつつ、近くの野原っぽい庭先でのんびり休憩中。
今日は少し肌寒いものの、日差しが暖かくて丁度いい感じ。
遠くで鶯が鳴くのもまた風流だわ。
「眠くなってくるわ〜…。」
ごろんと寝転がってみると、空は澄み渡る青一色。
ここで昼寝でもしたら気持ちよさそう〜。
「…人ん家で寝るなよ。」
「だってさ〜…、ぐー…。」
「おい。」
兄ちゃんからのお小言の声もなんのその。
ちょっとくらい…
「ひゃっ!」
突然頬に冷たいものを押し当てられ、慌てて飛び起きた。
「目が覚めたか?」
くすくすっと笑いを含んだ声はイタチだった。