第14章 暗部でのお仕事始めました
暫くして、奇妙な噂が回り始めた。
「見かけない顔の写輪眼を持った奴が里の中を彷徨いてるんだって。」
「それって、うちは一族の誰かなんだろ?」
「それが、うちは一族じゃないんだってさ。赤の他人らしいよ。」
「そりゃどういうことだい?」
「うちはにある神社の近くでよく見かけられるんだって。あそこ、鬱蒼としてるから気味が悪いよ。」
「だがなあ、見かけない顔ってったって…。」
「それがさぁ、ぐるぐると渦を巻いた奇妙な面をしてるらしいんだよ。」
「それじゃ顔見知りなのかどうか分からないじゃないか。」
「それがどうも、顔に酷い傷があるらしくて。それを隠す為に面をしてるんだとさ。」
「うちは一族で顔に酷い傷なんてある奴いるのか?」
「いないから見知らぬ誰かなのさ!」
「怖や怖や!そういえば、随分前に街で聞いたことあったな。」
「何を?」
「ほら、あれだよ。小さなうちはの子がさ、『うちは一族の中に死んだと思われる人がいて、その人が九尾事件を起こしましたー!』って騒いでたじゃないか。」
「あー!あったなぁ!」
「それってまさか…?」
「まさかな〜。ははは。」
「…でも、本当にあり得たりして…。」
「怖ぇ事言うなよ…。」
という、願ったり叶ったりな噂がじわじわと回り始めた。
それも、狙い通りにうちは一族区域外の街のあちこちで。
すげーな、兄ちゃん…。