第14章 暗部でのお仕事始めました
「で、テトラさんは何でソウヤさんを口説いたの?」
「な、何でって…その…。」
なんだ?急に大人しくなったぞ?
「まさかお前…、ヤレれば誰でもよかったとか言わないよな…?」
低い怒りを含んだ声が静かに問いかけると、テトラさんは分かりやすく慌て始める。
「ま、まさかっ!違うって!なっ!」
「いや、私に聞かれても。」
こいつ黒なんじゃね?
「裏切ったのか…?」
地を這うような怖い声がテトラさんへと突き刺さる。
「そういえば、この間女の人から問い合わせがあったような。岩隠れの人を探してるって…。」
私は思い出すような素振りをしながら言ってみた。
「なにっ!?」
あら、意外に釣れそうな…。
「なんでも、赤ちゃんが出来たんだそうで。」
「ホノカ〜!!」
「「誰だよ。」」
思わずソウヤさんと突っ込んだ。
こんな簡単に釣れるとは。
「はっ…!」
いや、そんな「しまった!」みたいな顔されても。
っていうか、この人あちらこちらで手を出しまくってるんじゃ?
「もしかして、そのホノカさんって人の他にもいるんじゃない?」
じと〜っと二人で見ると、テトラさんは顔を引き攣らせて視線を泳がせる。
「い、いない。それに、ホノカとは別れたんだ…。」
「本当かな〜。」
私が疑い深く聞くと、テトラさんは焦り始める。
「ほ、本当だ!」
「ちなみに何で別れたの?」
「それは…その…す、好きじゃなくなったから…。」
段々声が萎んでってるし。
未練たらたらじゃん。