• テキストサイズ

あなたに捧げる【鬼滅の刃/短編集】

第3章 その瞳で見つめてー炎柱・煉獄杏寿郎


「杏くん…ごめんね…ありがとう…」
「が謝ることではないだろう?」
「私…っ」
「屋敷に戻れるか…?」

私は涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、さすがに屋敷には戻れないと思った。
無言で杏くんの腕の中で頭を横に振った。

「そうか…。幸い今晩は任務もない。今日はずっと側にいよう。」
「うぅ…っ」

嗚咽を漏らす私を優しく包み込む温もり。
恐怖の経験と安心感で私はそのまま眠りに落ちてしまった。





「…ん」
「目が覚めたか。大丈夫か?」

私は目が覚めると屋敷ではないどこかの宿にいた。

「杏くん…ここは?」
「商店街の外れにある宿だ。今日はここに泊まろう。」
「ありがとう…」
「部屋は1つしか空いてなかった。俺と一緒で怖くないか?」

杏くんの赤くて美しい目が私の顔を覗きこむ。

「怖くないよ…?どうして…?」
「俺も一応男だからな!」

杏くんは笑いながら明るく言ったあと、急に真剣な顔になった。

「俺はのことを想うと苦しくなる。これがどんなものなのか分からない。」
「それ…って…」
「が好きだ。」

杏くんが私を好きなの…?!?!
思考回路がぐちゃぐちゃになって追い付かない。
ぐるぐると色々な感情が混ざって、整理がつくのにしばらく時間を要した。

「き、杏くん…?!それほんとに…?」
「俺は嘘はつかないだろう。」
「私も…杏くんのことずっとずっと大好きだったよ…。」
「…!!こんなに幸せな日はないな…。」

私と杏くんは見つめ合って笑った。
私は杏くんの胸にまた抱きついた。

「や、やめてくれ!」
「どうして…?」
「傷付いている君を、また傷つけてしまいそうで怖い。」
「杏くん…。杏くんなら…いいの。」
「…っ!」

チラッと杏くんの顔を見ると、とても真っ赤になっていた。

「ねぇ…私…杏くんなら怖くない…」
「優しくできるか分からないが…、それでもいいのか?」
「うん…抱いて…杏くん…。」
「後戻りはしない。」

そう言って杏くんは私のことを見つめた。
そうして、ゆっくりと布団に押し倒した。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp